技術用語・略語集

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A
ACE
三次元気液二相流の解析コード。 沸騰水型炉の炉心内の気液二相流を解析するために開発された。当初は直交座標系と円筒座標系に対応していたが,BFCの機能追加が完成した。

AEOLUS(イオロス)
ギリシャ神話の風の神を表す当社の販売する,CIP-GCUP法圧縮性熱流体解析ソルバー燃焼など物理量が空間・時間的に変化する解析を得意とする。 圧力方程式においては、物質の状態方程式と整合的な解を計算する。

AGCM Atmospheric General Circulation Model
大気大循環モデル。

AQUA(アクア) Advanced simulation using Quadratic Upstream differencing Algorithm
単相多次元熱流動解析コード。米国アルゴンヌ国立研究所から導入したCOMMIX-1Aを基本に核燃料サイクル開発機構が改良したもの。自由表面モデルにAQUA-VOF(AQUA-Volume Of Fluid)がある。

ASMBURN95
水冷高速炉核設計用解析コード。燃料集合体の燃焼計算を行なう。

α-FLOW燃焼モジュール解析
原子力発電所内の火災の解析などに用いるコード。

B
BFC Boundary Fitted Coordinate
解析をする領域の境界の形状に合わせた座標系。多数の要素図形の集合で境界形状に適合させる。 このような座標系を用いた,境界適合格子あるいは物体適合格子を意味することもある。

C CANIS(ケインズ)
原子炉(FBR)の燃料破損時の挙動解析コード。数値解析アルゴリズムはIPSA法。

Cas3du
3次元一様流(uniform flow)における翼列(cascade)の解析コード。

CFD
計算流体力学,数値流体力学。

CHAMPAGNE
多相多成分流体挙動解析コード。とくに原子炉で,水素の漏洩・蒸発・拡散をシミュレートする。数値解析アルゴリズムはIPSA法。

CIP法
3次関数補間法と訳す。双曲型偏微分方程式を精度良く解く手法。物理量の値とその空間微分量を各節点が保有して,2点間を例えば, スプライン関数などで補間する。東京工大の矢部教授が考案した。計算時間が短く,精度の良いのが特長である。応用例としては,圧縮性と非圧縮性流体を統一して扱うことや固体,液体,気体を統一して扱うことなどがあげられる。

COBRA-TF
サブチャンネル解析コード。

COMMIX-1A
単相多次元熱流動解析コード。米国アルゴンヌ国立研究所が開発?

Control volume法
計算対象の領域を分割したもので,流体の熱容量や関連する構造物の熱容量などのデータも付随させる。

CORCON(コーコン)
(財)原子力発電技術機構が所有する伝熱解析コード。

COREBN95
水冷高速炉核設計用解析コード。炉心の燃焼計算を行なう。
D DACS(ダックス)
Na加熱ヘリカルコイル型蒸気発生器の熱流動諸特性を求めるための設計・解析コード。

DALMA(ダルマ)
液体金属高速増殖炉用の蒸気発生器の流動安定性解析コード。系全体の伝達関数を周波数応答法によって求め, 制御理論の安定基準により系の安定・不安定を論じる。DACSの計算結果を入力として利用する。

DINUS-3 DIrect NUmerical Simulation using 3rd-order upwind scheme
非定常熱伝達解析コード。

DNS Direct Numerical Simulation
乱流の直接数値シミュレーションで,基礎方程式になんら操作を加えない数値計算をいう。 その特性は「物理モデルを用いない,格子解像度までの高精度計算」ということができ,計算格子より小さい渦の影響が無視できる程度 に解像度を確保する必要がある

DSMC法 Direct Simulation Monte Carlo 法

F FARO(ファロ)実験
EUのJRCイスプラ研究所で行われたFCI実験(Fuel Coolant Interaction: 溶融炉心物質を水プールに落下させたときの現象を 観察する実験)。

FEM Finite Element Method
有限要素法。

Flood2Dinv
洪水のプログラム

FRAC3DVS
カナダWaterloo大学のポーラスな地層での流体シミュレーション解析コード。

FDTD 法 Finite Difference Time Domain 法
Yeeセルで, マクスウェル方程式を電場・磁場を交互に解く方法。

FVM Finite Volume Method
有限体積法。

G Gaussian
Carnegie-Mellon大学のPopleを中心として開発された分子軌道計算プログラム。

GCG Genetics Computer Group
ウィスコンシン大学で開発されたDNAやたんぱく質の配列解析用ソフトウエア。

GIS Geographical Information System
地理情報システム。

GIS エンジン
地理情報システムで,たとえば地名を入力すると地図や画像などを検索して表示する機能を持ったソフトウエア。 インターネットの検索エンジンと似た機能なのでエンジンと呼ぶ。

H HIST95
水冷高速炉核設計用解析コード。炉心燃焼計算の補助コード。

HSMAC (HSMAC法と区別)
海流のプログラム

I IPSA 法
SIMPLE 法を多相化したもので,相と物質の数が多くなる。

J JASMINE(ジャスミン)
原子炉の溶融炉心と冷却水の接触による水蒸気爆発の解析コード。水蒸気爆発は4つのプロセス (粗混合,トリガリング,伝播,膨張)からなり, JASMINE-preは粗混合過程を,JASMINE-proは伝播/膨張過程を扱うモジュールである。

K k-εモデル
乱流の乱れの運動エネルギー k とエネルギーの散逸率 ε を用いて,渦粘性係数 νT=k/ε と表現する乱流モデル。

L Lattice Boltzmann 法
格子ボルツマン法。格子点で速度,密度などを与える。

LES Large Eddy Simulation
大きなスケールの乱流渦のみを直接計算するシミュレーション。LESの基礎方程式はNS方程式にフィルター操作を施したものを用い, 計算格子スケールを境にして流れ場を大小のスケールに分離するのが普通である。

Level-Set 法
2相流・半導体プロセスなど界面の移動を伴う現象で, 界面捕獲に用いられる方法。距離関数を使用する。

M MCNP Monte-Carlo N Particles
実験データに基づいて粒子の軌跡をモンテカルロ法によって計算するコード。 主に中性子の散乱を扱う。

MD 法 Molecular Dynamics 法
分子動力学法。分子間ポテンシャル(例としてレナード・ジョーンズ型)を設定し, 分子の運動を解く手法。

MELCOR
原子炉の炉心溶融事故解析コード。米国原子力規制委員会(USNRC)の委託により国立Sandia研究所が開発した。 詳細な設定が可能で,実験解析などもできるが,細かすぎて目的によっては使い勝手が悪いともいう。

mom(モム) Modular Ocean Model
プリンストン大学で開発された海洋数値モデル。全球海洋モデルとしては世界でもっとも広く使われている。 Modularという名が示すとおり,条件コンパイルなど多種多様なオプションを選択することができる。

MO 法
分子軌道法

MOPAC(モパック)
電子状態計算コードで,半経験的計算手法を用いる。

N NASTRAN
有限要素法を用いた汎用構造解析コードで,NASAとMSC社が共同開発をして,1971年から一般商用に供された。 基本機能は線形静解析,座屈固有値解析,実固有値解析で,他に多くのオプション機能がある。

NS方程式
流体のNavier-Stokes方程式

P Phase Field 法
固液の凝固過程(界面成長)を計算する方法。界面成長の方程式は、系の自由エネルギーから導出される。 最近は、気液二相流に対する研究も見られる。

PFM Probabilistic Fracture Mechanics
確率論的手法を用いて地震荷重下における構造機器の信頼性評価を行なう解析コード。

PRAISE(プレイズ) Piping Reliability Analysis Including Seismic Events
LLNL(Lawrence Livermore National Laboratory)が開発した配管の亀裂発生・進展,漏水,地震荷重等を考慮し, 配管の信頼性(故障確率等)を計算するコード。

PSA法 Probabilistic Safety Assessment
確率論的安全評価。プラント異常,安全機能異常の全組合せから得られる全事故シナリオについて,その発生頻度と被害を解析する。

R RCM Residual Cutting Method
残差切除法。RESCUT-SOR(レスカットソル)法を参照。

RDBMS Relational Database Management System
関係データベース管理システム。OSやアプリケーションプログラムから独立して,データベースを操作できるようにした 関係データベース用の管理システム。たとえばOracleの製品やMySQL(フリーソフト)などがある。

Real valued lattice gas 法
格子で区切った領域内にバーチャルなサンプル粒子を貼り付け,粒子が衝突して速度などが変わる計算をする。

RESCUT-SOR(レスカットソル)法
SOR法で残差切除を行なう方法で,収束が速い。

S SAモデル
乱流モデルの一つ。

SDP Self-Driven Particle
自己駆動粒子。ニュートンの力学法則を満たさない、能動的な粒子を指す。具体的には、人や 車などを指し、その流れが研究対象となっている。

SIMMER-Ⅲ
高速炉の炉心損傷事故解析コード。次のような数値解析アルゴリズムを用いている。
数値解法:半陰解タイムステップ分割(4-step)法
有限差分法:2次精度高次差分
圧力反復解法:ILUBCGまたは直接法
座標系:2次元円筒または直交座標

SIMPLE法 Semi Implicit Method for Pressure Linked Equation
Control volume法によりNS方程式を解く手法の一種。連続の式から圧力補正式を導いているのが特徴。 反復解法であり,圧力補正値を毎回求め,圧力補正値から速度を求める。 反復の途中で密度等が変化してもかまわないので圧縮性流体に適用できる。

Soret効果
温度勾配が物質流を引き起こし,軽い分子と重い分子の分布が偏る現象。

SORA Software of Orbital Attitude Analysis
人工天体軌道姿勢解析ソフトウエア

SOR(ソル)法 Successive Over-Relaxation Method
連立線形方程式を解くための反復法の一つであるGauss-Seidel法を改良したもの。 Gauss-Seidel法は一般に元数が大きくなると収束が遅くなるが,加速係数ωを導入して収束を加速する。 ω=1はGauss-Seidel法に一致する。

SRAC(スラック)95
水冷高速炉核設計用解析コード。燃料棒1本あたりの中性子吸収断面積を計算する。

STK
人工衛星軌道導出ソフト。

STM Scanning Tunneling Microscope 
走査トンネル顕微鏡。探針から試料表面に流れるトンネル電流によって、試料の構造を調べられる。

Stokesian Dynamics
ストークス動力学。固液混相系(溶媒に分散した粒子など)の流体力学的多体相互作用を厳密に取り扱うことが出来る。

STREAM
熱流体解析コード。ソフトウエア・クレイドル社製

SVD Singular Value Decomposition
特異値分解。最小二乗法のアルゴリズムの一つ。
T tac_ncコード
原子炉解析に特化された2次元の自然循環解析コード。米国製で原研が保有。

Them66fp
原子炉の燃焼計算ライブラリー。

THEMIS(ティーミス) Time-dependent Heat transfer Evaluation by Monte-Carlo Direct Simulation
分子運動論でのボルツマン方程式をモンテカルロ直接法により解くコード。

TRAC(トラック) Transient Reactor Analysis Code
Los Alamos national laboratoryで開発されている原子炉過渡解析コード。 PWRの安全評価解析コード等の検定用および事故解析や事故シミュレーションに用いることを目的としている。 可能なかぎり物理的に忠実に現象を記述するために種々のモデルが組み込まれている。 スラブモデルはその中のひとつで,ITERの安全解析に用いるために組み込まれた。

TRAC-PF1
TRACコードの中の熱水力挙動解析コード。

Trio_U
LESモデルの解析コード(フランス)。

TVD法 Total Variation diminishing
圧縮性流体の高精度解法。
   
U U-FILE
プラズマ現象に関する物理量のデータ交換用に使う国際データフォーマット。 注目する物理量ごとに,記述するパラメータ(電子密度)など,メッシュデータなどをファイルしたもの。 各ファイルの記述がヘッダー部にある。

UPACS(ユーパックス) Unified Platform for Aerospace Computational Simulation
NAL(現JAXA)で1998年から開発が進められている,共通的なCFDプラットフォーム。有限体積ベースの流体ソルバーで, マルチブロック向きに作られている。現在までにマルチブロック構造格子法による圧縮流解析が可能になっている。 f90で記述され公開を想定しているが,並列計算環境がないと利用できない機能もある。

あ行 オントロジー ontology
西洋哲学では存在論をいう。語源はonta-logosで,onは存在,taはその複数形であり,logosはロゴス(論理)である。 知識工学では知識を表現するための語彙あるいは基本概念の体系を意味する。 ある特定領域の知識全体をどのような語彙を用いて表現するかという知識内容の問題にかかわり,知識の枠組み以上に重要だと認識されるようになった。

か行 階層別モンテカルロ法
高速モンテカルロ法の一つで,発生確率がきわめて小さい事象について有効である。 通常のモンテカルロ法では,サンプル空間全体から一様にサンプリングして発生確率を求めるが, 階層別モンテカルロ法では,サンプル空間全体をセル(階層)で分割し,セルごとにサンプリングを行なって発生確率を求める。 各セルには,ある分布を持った乱数を発生させる時の選択確率(重み)が対応しており,これと発生確率の積をセルについて合計して, サンプル空間全体の発生確率を求める。

カルマンフィルタ Kalman filter
入力が白色雑音により発生されるランダム信号であるとき,希望出力と実際の出力との間の平均二乗偏差を極小にするような線形系のこと。

基底関数
原子や分子の波動関数を計算で求める際に最初に選ぶ試行関数。スレイター型(rne-ar) やガウス型(rnexp(-ar2)の線形1次結合などを用いる。

巨視的断面積 macroscopic cross section
ある核反応に対する単位体積あたりの核の断面積の和。その過程の平均自由行程の逆数に対応する

構造格子 structured grid
デカルト座標格子のように,規則的に整然と配置された格子。複雑な形状への適合性は非構造格子より劣り, 格子点数に無駄が出るが,格子あたりの計算量は少なく,格子あたりの精度は高い。

さ行 サブチャンネル解析
汎用解析プログラムとは逆に,対象を狭い範囲に限定し,流路形状(燃料集合体とサブチャンネル)と流動様式(環状噴霧流) と解析するべき現象(液膜の消滅)とそれを支配する機構が明らかである条件のもとに,個々の機構の詳細な解析モデルと 構成方程式を組み立てて精度の高い予測を可能にした解析手法。

シーケンス
原子炉の事故状況などを記述したもので,シナリオよりは狭い概念である。

実効増倍率
中性子増倍系(媒質)からの中性子の漏れを考慮して計算される増倍率。

重合格子
2つの格子を重ね合わせて,補間などを行いながら計算する技法。たとえば物体のまわりのminor格子と全域的なmajor格子など。

人工粘性 artificial vicosity
数値粘性ともいう。流体力学の計算で衝撃波前後の物理量の不連続に起因する数値誤差から,保存則が破れて不適切な解が得られることがある。 この種の数値計算上の欠陥を補正するために導入した人工的な粘性項で,解の振動現象を止める収束の技法の一つと考えてもよい。

ソースターム source term
環境に放出される放射性物質の量。

た行 第一原理計算 first-principles calculation
分子や固体の性質を非経験的に,すなわち電子状態に基づいて計算する方法。ab initio (アブイニシオ,ラテン語で「初めから」の意)法ともいう。 原子や分子の電子構造の計算において,基底関数の組を仮定し,そのあとの計算には経験的に与えられるパラメータを導入することなどの近似を できるだけ使わずに行なう,比較的規模の大きい理論計算をいう。基底関数の選び方(関数形と数)によって近似の程度が異なる。

第一壁
プラズマの密閉容器でプラズマに接している面をいう。

地球シミュレータ
1997年に科学技術庁が開発を始めた,地球規模の現象のシミュレータ。気候変動ではエルニーニョなどを対象とし, 1kmメッシュ気象学の確立を目指す。また地層・地殻の変動もモデル化の対象とし,並列コンピュータシステムとソフトの開発もテーマとしている。 現在の開発体制は文部科学省の管轄下でNASDA(現JAXA), 原研,海洋科学技術センターが共同で「地球シミュレータ研究開発センター」を設置している。

デブリ debris仏語
原子炉の炉心溶融事故で生成された,炉心内溶融物。原義は,なだれ落ちて積もった雪塊や氷塊(登山用語)。

転換比 conversion ratio, CR
転換とは中性子捕獲によって親物質を核分裂性物質に核変換させることをいう。転換比とは親物質から新たに生じた核分裂性原子核の数と 失われた核分裂性原子核の数の比で,ある時点または時間幅について求める。

統合プラットフォーム(設計支援プラットフォーム)
材料・物質の物性や機能を、シミュレーションによって評価できるシステム。 また、ユーザーに使い易くすることで、対象の理解・材料設計を促す。国内産業の発展促進を目指し、 様々な大学・研究機関で開発プロジェクトが進行している。

な行

は行 パス path
原子炉内をいくつかの領域に分け,それらをつなぐ仮想的な流路をいう。

バンドル bundle
原子炉の燃料棒を何本か集めて保持具で結束した束。BWR系統ではバンドルといい,PWR系統では燃料集合体またはアセンブリーという。

反応度
原子炉が臨界状態からずれている程度を示す無次元量。ρ=kex/keff=(keff-1)/keff  ここで、k:過剰増倍率,keff:実効増倍率。

非構造格子 unstructured grid
必ずしも規則的に配列されていない要素で空間を埋めつくした格子。 要素として,たとえば二次元では三角形,四角形,六角形を,三次元では四面体,六面体などを用いる。 一般に構造格子よりも複雑な形状に対応でき,総格子点数は節約できるが格子あたりの計算量が多く精度は低い。

ヒューチャービューアー future viewer
人間工学的な側面を考慮した(人間活動との因果関係を示すようにした),新しい「地球シミュレータ」。 たとえばCO2濃度と人間活動の因果関係をモデル化するなど。

ピンセル pin cell
原子炉の燃料棒。

フォッカー・プランク方程式 Fokker-Plank 方程式
速度分布の衝突緩和の計算に用いられる。NBI(中性粒子入射)による高速イオンに関して,速度のみをパラメータとした1次元計算, 速度と速度方位角をパラメータとした2次元計算コードがある。

ボイド率
流路断面内の蒸気(気相)が存在する体積割合。

ま行 マランゴニ(Marangoni)効果
流体の自由表面に,温度分布などに起因する表面張力差が生じたとき,これにもとづいて起こる対流。 とくに微小重力場において顕在化する。

無限増倍率
中性子増倍系(媒質)が無限に広がっていると仮定して計算される増倍率。
<1ならば未臨界,=ならば臨界,>ならば臨界以上(参照:実効増倍率)。



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